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PC-9821・これからの新製品予想


 98年夏、Windows98がプリインストールされたMate-Ra300,333とNr233が発売されました。これらのモデルはその前機種と比較すると、CPUやHDDの変更のみで、完全な新設計ではありません。但し、搭載CPUの変更によりRaではBIOSに手が加えられた様で、PC-9821Ra300でCeleron400Mhzの動作が確認されました。
 以前に書いた様にPC-98アーキテクチャの製品は企業ユース中心に根強いニーズが有ります。MS-DOSベースやN-88BASIC(86)ベース、さらにPC-PTOSベースであれば、PC-98アーキテクチャでなければなりません。コンシューマベースでのソフトはWindowsベースが一般的になり、MS-DOSベースのソフトの新品は秋葉原の店頭でもほとんど見かけません。しかし、企業内で特化したソフトや独自に作成したり、カスタマイズされたソフトを使う限りでは、Windowsベースでなくても十分な場合があります。こういった企業で、古くなったマシンをリプレースする場合、使用するアプリがWindowsベースでなければ入れ替えるマシンもPC-98が求められます。アプリケーションをWindowsベースにすれば良いと考える方もいるでしょうが、その前に2000年対応の方が先ですし、従業員への教育といったTCOなども余計にかかります。キーボードが変わるだけでも慣れるまで能率の低下をきたす事が考えられます。さらにこの不況下では全マシンとアプリをWindowsベースに切り替え、再教育をするといったバブリーなプランを良しとしない企業も多いでしょう。それに対し、リース切れとなった 古いマシンを同じアーキテクチャでリプレースするだけであれば、負担は軽減されます。さらにニッチな分野での業務用アプリケーションではソフトハウス側がWindowsベースでの開発負担に耐えられない場合もあります。プログラマも2000年問題で払底し、銀行が貸し渋りに走る中では、ソフトハウスにとって大博打になる可能性もあり、二の足を踏んでしまうかもしれません。こう考えるとまだまだPC-98の新品需要があるとわかります。

部材の問題
 独自チップで固めたその昔のPC-9801ならともかく、最近のPC-9821はintelなどのPCI ChipSetとTridenntなどのGrafic Chipを採用しています。これらのICは世代交代も激しく、何年も経たないうちに生産中止になります。NECがこれらのChipを外部から仕入れている以上、生産中止になって在庫が無くなれば、新しいChipを採用せざるを得ません。また、intelのCPU世代交代により、新しいCPUの採用を余儀なくされます。現在、Raシリーズに使われているintel440FX PCI Setは1996年発表です。intelの発表と同日に同440FX採用のRa20を発表したNECですが、以後RvIIを除きP-6アーキテクチャ採用のMate-Rは全て440FX採用です。しかし、intelが440FXを製造中止すれば新たなChipSetを採用せざるを得ません。これはTridenntのTugi9682にも言える事です。

採用CPU
 Windowsのみを使用するのであればintelにこだわらず、AMDやCyrix、IDTでも問題有りません。しかし、MS-DOSやN-88BASC(86)などで、小規模ソフトハウスやユーザ作成のアプリケーションでは命令セットを含めた旧機種とのシビアな互換性が要求される場合があります。既にWindowsマシンとしての価格競争はNXが受け持って98には必要無いため、敢えてintel以外の互換x86メーカーのCPU採用する事は無いでしょう。そして、Mate-RにもかかわらずWindowsNTプリインストールモデルがラインナップされなくなった事からハイエンドのCPUパワーも必要とされません。また、ベースクロック(FSB)が66Mhzから100Mhzになるとマザーボードの全面再設計が必要になります。intelが440FXを供給している限り以前の設計が流用出来ます。そうした意味で98年にCeleron搭載機が出現したと考えられます。そして、これから先暫くはCeleronベースとなると考えられます。

ChipSet
 さて、440FXは元々PentiumPRO用ChipSetです。PentiumII登場初期にはそのまま440FXが採用されたものの、FSB100MhzでAGP採用の440BXに主流は移りました。そしてintelはCeleron用ChipSetとして440EXや440ZXを出荷しています。サーバの搭載CPUがPentiumPROからXeonに移行すればあえて440FXを出荷し続ける事も有りません。さらにFSB133MhzやDirect Rambus DRAM(RDRAM)採用の新ChipSetが予定されています。これらの製品が出荷される頃には440FXは現在の430HXなどと同じくメンテナンスモードに移行してのフェードアウトが考えられます。そうなると、PC-98でも440FXに替わる新たなチップセットを使用しないとなりません。但し、PC-9821ではサウスブリッジにPC/AT互換機用と異なるNEC独自のSATR ALPHAが使われています。チップセットの高集積化が進みノースブリッジとサウスブリッジがワンチップになった製品が出現したとしたらPC-98アーキテクチャには使用出来ないでしょう。新たなチップセットについてはNECなどのメーカーにはintelから事前にアーキテクチャなどの情報が渡ります。PC-98アーキテクチャで使用するためにはノースブリッジとサウスブリッジが分かれている必要が有るので、NECとしても440FX以後のチップセットの選定にはこの点を考慮するでしょう。また、ローエンド向けのグラフィック機能を内蔵したチップセットではVGA BIOSを切り離してPC-98 DOS画面と切り替えるといった事が出来無いと考えられます。従って、グラフィック機能内蔵チップセットはPC-9821で使用される事は無いでしょう。なお、現行のPC-98出荷台数からしてもSTAR ALPHAの新設計は考えられず、サウスブリッジは現行のSTAR ALPHA2が採用されると思われます。

Socket370
 さらに、intelはCeleronをSlot1からSocket370に移行させるつもりです。そして、433Mhz以上の新しいCeleronはSlot1で供給されずSocket370のみで供給されると考えられます。さすがにNECもこうなるとマザーボードを新設計せざるを得ないでしょう。

AGPはどうなる?
 440FXはPCIチップセットであり、AGPをサポートしていません。それ以降の440BXなどはAGP SetなのでチップセットがAGPをサポートしています。NECが98-NXを発売せず97年秋以降もPC-98を主流としていればPC-98へのAGPスロット搭載も考えられましたが、主流を98-NXに移行した現在ではAGPをサポートするとしてもオンボードという形でAGPスロットは設けられないでしょう。これは、PC-98 DOSグラフィックとの切り替えの問題と、もはやNEC純正のAGPボードやサードパーティーのPC-98用AGPボードが出荷される事が無いであろうという問題でしょう。

使用メモリは?
 Mate-Rは一貫してECC EDOの72PinnSIMMメモリを使用してきました。しかし、業界ではSIMMからDIMMへの移行が進んでいます。チップセットも最近の物であればSDRAM DIMMサポートが標準です。SIMMの入手性を考えると、チップセット切り替えを機にSDRAM DIMMへの移行が考えられます。既にPC-98でもMMX VALUESTARでSDRAMを採用した実績もあります。Mate-Rの名を冠するのであればECC対応SDRAMの採用も考えられるでしょう。

99年のNew Mate-Rのスペック
 P-6アーキテクチャベースであれば名称はMate-Rでしょう。Celeron400MhzまではSlot1の製品がある事から、Ra333の後継はRa400でRa300の後継はRa366というのが考えられます。HDDはディスク1枚あたりの容量が年々増加し、小容量の物が生産されなくなっているので、Ra333/300よりは容量が大きくなり、Ra400が8GB、Ra366が6GBという所でしょうか。CD-ROMも年々高速化しており、低速なドライブが生産中止になっている事から、高速化されるかもしれません。メモリはNECらしく32MBのままかもしれません。

99年のNew 98NOTEのスペック
 98年にはNr233というNEW MODELが出ました。これは従来の機種のCPUを高速化してHDDなどの容量が変わったのみのモデルです。intelは99年初頭にノート用P55C300Mhzを発表しました。ノートの主流はPentium,IIやモバイルCeleronに移行させたいintelですが、消費電力や発熱の関係からデスクトップでは出荷停止させたP55Cを出荷しています。しかし、P55Cのラインナップが30Mhz/266Mhzに移行して233Mhzがフェードアウトすると、PC-98 NOTEもCPUが高速化される可能性が高いでしょう。その際にHDD容量や搭載CD-ROMが変わる事も考えられます。

さらにその先のモデル
 さて、AMD等のx86互換CPUメーカーに追い上げられて、Celeronがますます高速化した場合を考えてみましょう。そうなるとintelも266Mhz版と同様に低速なCeleronをフェードアウトします。次々期Mate-Rの採用CPUはCeleron433Mhz、466Mhzと仮定します。ChipSetは440ZXかFSB 100Mhz化を見越した440BXでしょうか。NOTEに関してはP55CベースであればCPUのみ置き換えれば済みますが、PentiumIIやCeleronなどのP-6ベースでは全面再設計が必要になります。そうなるとintelがP55Cをラインナップに置いている限りは出荷されてもその後は判りません。デスクトップ、ノート共にプリインストールOSは現行ラインナップと変わりないでしょう。Windows2000はMSの常で出荷が遅れる様なので日本語版は2000年中に出荷されるか危うい物があります。また、Win9Xカーネルの製品出荷の噂もあります。蓋を開けてみないと何とも判りませんが、Win9xカーネルの製品であれば次々期PC-98にプリインストールされる可能性も高いでしょう。

99年2月記

追記:99年3月に98NOTEの新製品が出ました。Nr266です。CPUがP55C233Mhzから266Mhzに高速化し、HDDが3.2GBから4.3GBになりました。その他の仕様は変化していません。


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