初心者、入門者向けにWindows95と共にデビューしたPC-98ValueStarですが、V型番には数多くの機種が存在します。ここでは、そのValueStarの系譜を追ってみたいと思います。なお、愛称のVALUESTARには、「付加価値の高い+輝く星(No.1)」という意味が込められてます。
先史時代 98Mate X CRTセットモデル
Windows3.1全盛の頃、PC-98のライバルとして富士通がDOS/V機のFMVを発売しました。このFMVにCD-ROMやモニタをセットしてOS以外のアプリケーションソフトをプリインストールしてオールインワンモデルとしたのがFMV
DESKPOWERです。94年暮れから発売され、派手な宣伝で初心者向けに大ヒットし、FM-TOWNSやFMRに変わる富士通の主力機種になりました。
NECはそれまでパソコン単体の98Mateが主力でC型番の98MULTiやCanBe以外にCRTセットモデルは有りませんでした。しかしFMV
DESKPOWERのヒットにより、それに対抗する機種を発売します。それが98Mate X
CRTセットモデルです。
当時のMate XにはMS-DOS 6.2とWindows3.1といったOSしかプリインストールされていませんでしたが、これらのモデルはそれに加えCanBeで採用されたメニューソフトの98ランチや98プレーヤ、翻訳ソフトなどのNEC製ソフト及び辞書や駅すぱあと、ゲーム、パソコン通信ソフト、Lotus
Organizer、デジタルブックなどの多数のソフト(36種類)がバンドルされていました。しかし、ワープロや表計算などのビジネスソフトは付属していませんでした。これはユーザのニーズにより、ユーザが自由に選択できるように配慮したものです。98Mate
X CRTセットモデルのカタログ表紙には「先進を手にする。すぐに使える。」とありました。
- PC-9821Xe10/S15
95年7月、最初に発売されたのは486マシンのXe10です。既に単体で発売されていたXe10/C4に15インチCRTをセットして様々なソフトをプリインストールしたものです。スペックは、486DX4
100Mhzでメモリ8MB、HDD420MB、4倍速CD-ROMでWindowsアクセラレータ(以下GAと略)にCIRRUS
LOGIC GD5430(VRAM 1MB)採用でした。音源もMate-X PCMのみです。Cバスは3本とベースモデルと同一です。なお、Xe10/SDという兄弟機があります。このモデルは文豪DP-OFFICE(Ver.1.0)インストールで文豪DPキーボード(PC-9801-115)と15インチCRTが付属した、後のValueStarの文豪DPモデルのご先祖です。メモリ10MBでCD-ROMは付いていません。
- PC-9821Xa7e/S15,S17
98Mate X CRTセットモデルの上位モデルという位置付けで95年8月にXa7eが出ます。なお、eはEconomyの略称です。15CRTセットモデル(Xa7e/S15)以外に17CRTセットモデル(Xa7e/S17)も有りました。ベースとなったXa7と異なり、PCIバスは1スロット、Cバスは2スロットで、それぞれ1つずつ削られています。スペックはPentium75Mhzでメモリ8MB、HDD850MB、4倍速CD-ROMでGAはカタログでは「32ビットウインドウアクセラレータ標準搭載」とあり、ロットにより差が有るかと思われましたが、実際にはCIRRUS
LOGIC GD5440(VRAM 1MB)というものでした。セカンドキャッシュはオプションで256KB増設可能です。Win95発売前にはWin95無料アップグレードの対象になりました。後にはMMX
ODPの対象機となります。
初代ValueStar 写真
パソコン業界のみならず、一般マスコミも大騒ぎした95年11月23日のWindows95発売に伴い、PC-98のラインナップも「98でWindows95」というキャッチフレーズと共にWin95プリインストールモデルに切り替わりました。また、付属キーボードがWindowsキーおよびアプリケーションキーの付いたWindows95対応キーボードになります。そして98Mate
X CRTセットモデルも98MATE ValueStarという形で愛称が付きます。メニューソフトの98ランチはWin95版になり、以降のモデルにも全て付属します。インストールOSがWindows95/Windows3.1のデュアルインストール(初回起動時に選択)になり、それまでのMate
X CRTセットモデルにはバンドルされなかったワープロ、表計算ソフトがバンドルされます。一太郎Ver6.3&Lotus1-2-3R5Jモデル(modelA,C)とExel&Wordモデル(modelB,D)に分かれます。NEC製ユーティリティーソフト集のユースフルパック(Windows
95版)や英日辞書引き君、デジタルブックビューア、駅すぱあとなどの多数のソフトがバンドルされています。搭載CPUにより、V7,V10の2機種あり、付属するディスプレイはS5が15インチCRT、S7が17インチCRT付属です。HDD850MB、4倍速CD-ROMは共通です。PCIチップセットはVLSI
WildCatまたはintel Triton 430FXでロットにより変わります。カタログ表紙には「好評の、すぐに使える98セットモデル。新シリーズ登場。」とあります。
- V7/S5K,V7/S7K,S5K
modelA,B
Mate-Xと共通のデスクトップ型筐体を持ちます。ソフトやキーボード以外は前機種のXa7eと同等です。スペックはPentium75Mhz、メモリ8MBでGAはやはり「32ビットウインドウアクセラレータ」と称するCIRRUS
LOGIC GD5440(VRAM1MB)です。セカンドキャッシュはオプションで256KB増設可能です。
- V10/S5K,S7K
modelA,B
CPUが100Mhzになった以外はV7Kと同一です。なお、Mate Xの廉価版であるXb10/J8はCD-ROMやバンドルソフトが無い以外は共通のスペックを持つ兄弟機です。
- V10/S5K,S7K
modelC,D
28.8kのFAXモデム(PC-9801-120相当品)をCバスに内蔵した機種が加わりました。このモデム内蔵機種のみ16MBメモリ搭載です。それ以外はmodelA,Bと変わりません。
- V7/C4K
modelA,B
ValueStar唯一の14インチCRT一体型で98MULTi CanBe Cb2,Cb3と共通の筐体を持ちます。Cb3/TからモデムやTV、音源などを削ったスペックです。Cバス2スロットのみでPCIバスを持たず、セカンドキャッシュも増設不能です。なお、デスクトップに無い装備としてノーマルで赤外線通信インターフェイスを持ち、通信用ユーティリティー(TranXit)も付属します。
96年春モデル
96年2月、モデルチェンジされます。CPUが高速になり、メモリも一部を除き標準で16MB搭載されます。バンドルアプリケーションは初代とあまり変わりませんが、Excel&Wordモデル(modelB,D,F)はバージョンが上がりました(Excel&Word
for Windows95)。また、WebブラウザのInternet Explorer 2.0が加わります。CPUの種類によりV10,V12,V13の3機種になります。搭載CD-ROMは全て4倍速です。セカンドキャッシュはオプションでGAは32ビットウインドウアクセラレータと称するCIRRUS
LOGIC GD5440(VRAM 1MB)です。デスクトップはKからR型番になりました。なお、15インチCRTは共通ですが、17インチCRTはV12とV13で異なり、V13/S7Rはディスプレイ(17)IIとなります。CMキャラクターは仲村トオルです。
カタログ表紙には「自分を磨く。バリュースター。」と有ります。なお、4月のカタログでは通信機能内蔵モデルの追加に伴い、「世界がひろがる。オレが変わる。」と変わります。
- V10/C4R
modelA,B
14インチCRT一体型のV7/C4KのCPUをPentium100Mhzにしたモデルです。このモデルのみメモリ8MBのままです。HDD850MBなどCPU以外はV7/C4Kと同等です。
- V10/C4RmodelE,F
96年3月に追加されたISDNモデルの元祖です。CバスにISDNボードを搭載し、メモリも16MBに増強されています。ソフトにインターネットチュータと英日翻訳アダプタが加わります。なお、このモデルのISDNボードは同時に発売されたISDNインターネットアクセスセット(PC-9801-121)と同等品と思われます。
- V12/S5R,S7R
modelA,B
V7デスクトップの後継機ですが、Pentium120Mhzへと高速化しました。当初はFAXモデム内蔵機種は有りませんでした。HDD850MB。96年4月にCバスFAXモデム内蔵のmodelC,Dが追加されます。ValueStar中唯一のベースクロック60Mhzマシンです。
- V13/S7R,S5R
modelA,B
V10デスクトップの後継機です。CPUがPentium133Mhzに高速化されます。HDD850MB
- V13/S7R,S5R
modelC,D
28.8kモデム内蔵機種はHDDが1.2GBとなります。
96年夏モデル
96年6月、モデルチェンジが行われます。V13,V16,V20の3機種になり、型番の末尾に2が付きます。また、全機種でEDOメモリと256KBのセカンドキャッシュを標準搭載します。CD-ROMも6倍速に高速化されます。全機種が通信機能標準搭載となり、CバスにはmodelC2,D2には28.8kモデムボード、modelE2,F2にはISDNボードが搭載されます。
ここで初めてミニタワー型筐体が登場します。96年1月にデビューした
Xv13/R16と同様の筐体を持ち、3つのファイルベイと2本のPCIバス、4本のCバスを持つデスクトップに比べて拡張性の高いものです。GAはMateXに採用された
Trident
TGUI9680(VRAM 2MB)です。デスクトップは従来通りPCIバス1本、Cバス2本です。GAはCIRRUS
LOGIC GD5440(VRAM 1MB)です。ミニタワーモデルはM、デスクトップモデルはSの型番が入ります。ミニタワーは17インチCRTモデル、デスクトップは15インチCRTモデルとなります。
また、OSもWindows95のみになります。バンドルソフトにパソコン大学一年生というワープロ・表計算学習ソフトとInternet
Explorer3.0日本語版β1が加わります。また一太郎/1-2-3モデルにNetscape Navigator
2.01が付属します。なお、これ以降のモデルはMS-DOS3.3のサポートが無くなります。また、付属CRTは15インチがD151、17インチがD171に変わります。
カタログ表紙には「オレはこいつで世界の情報通になる。」と有ります。
- V13/S5
modelC2,D2,E2,F2
上記の強化を受け、エントリーモデルがV13となります。HDD1.2GB。E2,F2はISDNモデルです。
- V13/M7
modelC2,D2
V13にもミニタワー型が登場します。HDD1.6GBになります。ValueStarのミニタワーでは唯一メモリ16MBです。本体のベースになったXv13/R16と比べるとメモリがEDO
RAMになり、CD-ROMが6倍速でモデムがCバスに内蔵されたという違いが有ります。
- V16/S5
modelC2,D2
ミドルレンジにPentium166Mhz搭載のV16が出ます。V13/S5とはCPU以外にHDD 1.6GBという差があります。
- V16/M7
modelC2,D2
V16のミニタワーです。V13/M7に比べCPU以外にメモリ32MB、HDD 3GBとなります。
- V20/M7
modelC2,D2,E2,F2
最上位機種では発売されたばかりのPentium200Mhzが搭載されます。メモリも32MB搭載です。夏モデルのV20はミニタワーモデルのみでHDD
3GBとなります。E2,F2はISDNモデルです。
96年秋冬モデル
96年10月、さらにモデルチェンジが行われます。V13,V16,V20の3機種は変わらず型番末尾に3が付きます。全機種に32MB
EDOメモリが搭載されます。また、FAXモデムが33.6kに、CD-ROMが8倍速に高速化されます。また、デスクトップのグラフィックチップがCIRRUS
LOGIC GD5440(VRAM1MB)とカタログに記載される様になります。バンドルソフトはInternet
Explorerが3.0になり、一太郎がVer7(modelC3,E3)になりNetscape Navigator2.02が付き、Exel&Wordがインターネット強化版(modelD3,F3)となります。更にインターネットアクセスマネージャというオートパイロットソフトが追加されます。
また、作家の海老沢泰久氏による「これならわかるパソコンが動く」というガイドブックが付きます。そして、MATEの文字が抜けたVALUESTARのみになります。CMキャラは竹中直人に変わりました。
カタログ表紙には「こいつは、メジャーだ。」とあります。次のページには「さあ、インターネットで世界の情報へまっしぐら。」とあります。
なお、これらのモデルはV20のデスクトップモデルを除いて初代MMX ValueStar発売後も併売されました。
PC-9821 ValueStarの系譜その2に続く